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去る11月24日〜26日の3日間、兵庫県立芸術文化センター中ホールにて第41回近畿高等学校演劇研究大会の発表が行われました。
今年は何にビックリしたって、県立芸術文化センター中ホールの気合いの入ったホールにビックリしました!
去年オープンしたこの芸術文化センター(以下:芸文)は、2001席の大ホール、800席の中ホール、417席の小ホールの3つのホールから形成されています。写真のエントランスの正面は中ホールの入り口ですが、このエントランスより大ホール・小ホールにも分岐しています。また、ここは地上2階なのですが、なんと!阪急西宮北口南改札口よりそのまま屋根付きの歩道が完備されています。立地条件はこれ以上ないというくらい、好立地なのです。
さて、その中ホール、演劇用としてはこれ以上は無いかも知れない、今まで見たどんなホールよりも演劇に適した、まさに演劇のためのホール。
通常、ホールサイズが大きくなると残響音などの影響で(単にホールの設計ミスor予算不足の結果なんですが)、役者の声が聞こえない、という事が多々あります。が、ここはどんな小さな台詞でも聞こえるだろうな、とそんな感じ。
800席というと、結構、大きいのですが、事実、ピッコロシアターの大ホールの倍近い客席数。ですが、出来るだけコンパクトに設計されており、一番後ろの席からも“舞台が遠い”という印象はありません。(客席の余裕は十分あり、窮屈ではない)
また、舞台上面も通常は白色の木材が使われていますが、つや消しブラックの木面となっています。地絣を引かずとも、ハレーションを押さえる効果を兼ね備えているわけで、照明も映えます。
おおっと、余談、長すぎですね(苦笑)
さて、今年は久しぶりに近畿高等学校総合文化祭演劇部門との同時開催という事もあり、13本の上演がされました。
その中から、個人的にお気に入りのものをいくつかピックアップ!
■大阪 大阪市立工芸『お気に召すまま』
“私の中の最優秀賞!”
今大会で一番演技の切れがあり、パンチ力があったのは間違いなくこの『お気に召すまま』だと思います。
とある高校の旧校舎で行われる、とあるゲーム。
それぞれ謎の人物レイコに集められた男女8人が、探偵と泥棒になり校舎内を縦横無尽に駆け抜ける。青春ドタバタラブコメディー!
爽やかで、それでいてパンチ力のある演劇。
まるで、在りし日の兵庫の高校演劇を観ているかのような錯覚に陥りました。
久々に笑えましたからね。ホントの意味で。
具体的な対象物は特になく、平台により三段の高さをつけただけのシンプルな舞台。
この構造が、特にラストになると生きてきます。(それまででも十分に面白いのだけど)
下記の近畿大会速報部にはちょうど、そのシーンの写真が使われています。
いつしか4組のカップルとなりつつある男女が、1組ずつ物語を進行させていく。照明を多用するとか、そう言うことは一切しない。動と静。それだけで十分なのだ。
演技中の役者たちと、ストップモーションとして観客の視界から一時外れる役者たち。
段差をうまく使ったシーンでした。
個人的には、今までで歴代第二位くらいに大好きな作品。
観終わったあとも、幸せな気持ちになれますし。何より、爽快なのが良い!
けれど、最優秀や次点には入りませんでした。
きっと、演劇としての意味がなかったからなのでしょう。
こういう作品も良いとは思うんだけどな。
残念です。
→近畿大会速報部:『青春ドタバタラブコメディー!!大阪市立工芸高等学校』
※リンク先コンテンツは平成19年3月31日までの掲載の予定です。
■兵庫 兵庫県立西宮今津『太陽の箱』
“もう一つの最優秀賞!”
県大会では前半を見逃しましたが、今回は最初から観ることが出来ました。
初日の朝一、そして初めての芸文ということで、ドキドキしながら幕開きを待ちました。
緞帳が上がると──
そこにあったのは、県大会とは全く違う舞台でした。
芸文中ホールのために作られたのか?と見まごうばかりの舞台構成。
共通仕込みであるはずの照明までもが、この芝居の為だけに仕込まれた照明に見えてしまう。
幻想的な舞台。
その奥行き感もすばらしい。
舞台が進むにつれわかったのだが、カスミ幕を利用していた。
カスミ幕の向こうに、祭壇と神器。そして、太陽。
カスミ幕と照明効果の生み出す奥行き感がまた、巧妙にして絶妙。
難しい話ではあるけれど、最初から観るとちゃんと入り込むことが出来る。
春山文学の世界に、引き込む力を十分に持った舞台。
この芝居は、天皇陛下を扱ったものではあるけれど、歴史的演劇という訳ではなく、春山昌紀の中のファンタジーと言えよう。
舞台装置・照明・衣装・口調・演技etc.etc...すべてが合わさって、彼の世界を表現している。
超高校生級の演劇。
こんな事が高校生に出来てしまうのか!と。
願わくば、春秋座公演では、ラストの進化に期待したい!
今はまだ、そこだけが描き切れていない気がする。
もちろん、さらなる進化を魅せてくれる舞台だと、信じています。
→『白塗りの…!?』〜県立西宮今津高校〜
※リンク先コンテンツは平成19年3月31日までの掲載の予定です。
■奈良 奈良県立ろう学校『無音の伝言−KIZUNA』
“奈良の高校演劇史上、最高の舞台!?”
近畿大会に来られた方の中で私だけではなかったと思いますが、聾唖者の演劇というのを初めて観ました。
私自身、感じたのは、“何で今まで近畿大会に出てこなかったのだろう?”という事。
今まで観た奈良の高校演劇。
決して多いとはいえません。まだ、片手で数えられるくらいかも知れません。
それでも、どの奈良の演劇よりも上手かったと思うのです。
ただ残念なのは、ハンデがあること、ではなくて、ハンデがあるからこそ自分たちの情報が少ないこと。
演劇部の顧問は、演劇をあまり知らないんじゃないかなぁ?そんなことがかいま見えた。
この演劇にはSE以外のBGMが必要だったとは強いては思えないし、プロジェクターもなくて良かったんじゃないか?そんな気がします。
でもまぁ、そんなことを抜きにしても、完成度の高いお芝居でした。
それと同時に、いかに自分が聾唖者について無知なのか(これはこの芝居の本質とは関係ないのですが)を感じました。
■兵庫 県立西宮『エルビス!』
“「エルビーのテーマソング」は兵庫以外ではうけないのか……”
この舞台、近畿より初めて春期高校演劇フェスティバルに参加します。
来年三月下旬、東京・劇団四季劇場へ乗り込みます(笑)
やはり、二度目だとエルビーのキャラクターのインパクトには欠けますね。
あれは一度目だったから笑えたのだな、と(笑)
しかし、エルビーにしろそのテーマソングにしろ、県大会ほどは笑いは起きませんでした。やはり兵庫県下以外では、知名度は低いのかも知れません。
結構面白いポイントなのですが、この面白さがわからないのはもったいない。
この芝居で一番感心するのが、やはりキャラクターが出来ている、という事。
ひとりとして高校生は登場しません。
中学生から村の助役という、幅広い年齢層・役柄が登場するにもかかわらず、違和感がない。役者が嘘をついて演技をしていない。
だから、舞台から下りた素の彼らを見ると、誰だかわからないんですね。
“どーも見たような気がするんだけど……”
上記写真のT君にしても、会場で見つけてお話ししましたが、去年のインパクトが強く私の中ではずっと「岸田君」でしたよ(笑)
■三重 三重県立四日市『ぐんぃてーみ』
“ミーティングの逆さ綴りだってさ(笑)”
最終日からも一本紹介しておきます。
『ぐんぃてーみ』変なタイトルだなぁ、と思っていたのですが、一緒に行っていたI氏が解いてくれました。
エマノンを思い出してしまいましたが、エマノンとは一切関係ない話です(笑)
おっと、速報部に『ぐんぃてーみ』の舞台写真があるかと思いましたが、ないのです。残念。
近畿大会は「写真撮影不可」なので、手持ちの写真がないのですね。
言葉で上手く伝わらない気がしますが、舞台装置がすばらしかった。
# これに関しては実は、三日目の3本はすべて、装置が凄かった。
とある高校の生徒会室が舞台。
普通、ただの一室なので平面で表してしまいがちなのですが、ここの生徒会室は、段差がついていて高さが違うのです。
それが少しも歪ではなく、見事に生徒会室を作ってました。
演技力もあって、爽やかな作品で個人的には好きな部類に入ります。
講評で審査員が言われていたように、細かいところを指摘すれば色々ありますけどね。
ただまぁ、やっぱりあの教室のデフォルメには、敬服します。
そう言えば、リアルタイムで時が流れている舞台、というのも珍しいですね。
生きた時計があって、時を刻んでいく。
結構、演じる側はプレッシャーだと思うんですけど、うまくいってました。
今回は、結構、いろいろな人に突撃しました。
・県立長田のY君→『コントの作り方?』の疑問にお答えいただきありがとうございます。
・県立西宮今津のH君→是非、機会があればちゃんと語らいたいものです。
・県立西宮のT君→『エルビーのテーマ』の裏話、ありがとうございます。
個人的に残念なのは、県立西宮南のKさんとお話しできなかったことでしょうか?
会場スタッフとして東奔西走している姿はお見かけしましたけどもね。
『タバコの害について』もそうですが、今回のアナウンス・司会ですっかりファンになりました(笑)
さて、今回、心に残った専門審査員の名言があります。
「観客の心をDriveするんや!」by 西田シャトナー
2006年11月27日 19:06 │ コメント(2) │ トラックバック(0)
懐かしい…
私は某高校の演劇部です。
毎日行きましたよぉ。
確かある日に腰が痛くなって
裏でくたばってました(笑)
質問しまくりましたよぉ!
私が誰かわかるかもしれませんね(笑)
コメント時刻: 2007年4月15日 21:14
» YOU
ようこそVan・Darkissさん。
そうですか、あの輪の中にいた一人だったんですか。
お会いしていたとは思いもしませんでした。
某高校演劇部は、私にとって感慨深い演劇部です。
97年の近畿大会で観たその舞台は、高校演劇好きになる大きな要因でしたねぇ。
コメント時刻: 2007年4月16日 07:57
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