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2013年の県大会は、近畿大会が独自大会ということで、いつもより1週遅れの日程でした。
近畿総文が今年は三重なんですって。
そんな、第57回兵庫県高等学校演劇研究大会・中央合同発表会の会場は、明石市西部市民会館。
今年は但馬支部も復活して、──でも、西播支部と東播支部の枠が1校ずつ減って、全14校の公演です。枠が減った分、少し余裕が生まれた大会でしたが(でも、昼休みの短さは変わらず!(笑))、やっぱり、ちょっと残念かな。
いえいえ、そんなことを言ってはいられません。
なかなか充実した大会だったのですよ!
■滝川第二『志望理由書』
舞台上の密室という面白さ。
ちょっと変わった、でも、ある種の信念を持った大村先生と空のやりとりの妙。
密室空間と言うこともあり、その面白さに引き込まれていくのが第一場か。しかし、その密室に集約しないことと、音に対する違和感が気になるのが前半。
音の使い方や暗転には、まだ一考の価値ありか、と思うものの、後半に行くに従って、密室で変わっていく二人の関係性に魅了されていく。
完璧ではないものの、個人的には好きな作品。
最後の余韻の持たせ方、良かったなぁ。
■県立神戸『ソーニャ姐さん』
二人芝居でここまで出来るか!
実は、幕開きにかかった曲に違和感を覚える。それこそが、演出の狙い。
その違和感は、継続的に、『ワーニャ伯父さん』の練習や、チェリーとハルの何気ない会話乗り越えながらも続いていく。決して大きくなく、意識するほどでもないのが──つまり"ちょっと変だねー"程度なのは──、演出の妙だったのか。
チェーホフを題材にしながらも、等身大の高校生を演じたこの作品は、"こんな作品をやりたい"と思わせる。もう一度、演劇に向かおうとさせてくれるだけのパワーを持っていた。
その丁寧な演技は、大会一だったでしょう。
■賢明女子『GIRL・GIRL・GIRL』
優秀賞に入らなかった優秀作!
正しいことが、常に正しいとは限らない。
中盤、事件を巻き起こすのは、正直者の宮野さん。佐藤一香(いちか)に想いを寄せるは、そのクラスメイト。その告白を目撃した宮野さんは、その事を大いに応援するが、そこは女子校。大事件に発展し──!
好きな気持ちは「正しい」と言い切る宮野さん。じゃあ、キリスト系の学校に通う私たちにとって、「同性愛は正しいの?」と問うクラスメイト。
そんな女子高生目線で切り取った作品。
ただし、エピローグはちょっと長すぎた。
全てを語らず、観客に想像させることも大事な要素なのです。
■県立武庫荘総合『BEST ~壊れかけの部室~』
な、な、なんと、一億円の札束がッ!!
この一億円の札束が登場した時の衝撃は凄まじい。本物のハズはないのだけれど、その札束という生々しさが、客席に緊張感を生みます。それは、彼女たちが考えた台本以上のパワーを持っていたのです。
つまり、残念なのは、役者たちの演技、台本の内容が、一億円の札束に叶わなかったこと。
外部からの視点があれば、全然違う内容の作品になったろうな、という感じはします。客席にいてさえ、偽物であるとわかっていても、それほどの魔力がある。
そんな札束に対して、そんなに冷静でいられるだろうか?
それでも、今まで観た武庫荘総合の中で、一番良かったかもしれません。
というのは、舞台が演劇部の部室だったからか、物語が地に着いていたような気がします。演じ手側も落ち着いていたしね。
まぁでも、よく一億円の札束を出そうなんて考えついたなぁと感服です。
■県立宝塚北『ファントムペインに血は流れるか』
演劇科の実力派如何に?注目の宝塚北!
台本もしっかりしているし、演技も、「演技力」という言葉でまとめれば、大会一二を争うくらい。
ただ難点を言えば、若干エンタメ系に流れてしまっていることと、演技力があったからこそ目立ってしまった殺陣の出来。やはり同じスピードで殺陣を繰り出さないと、どうしても見劣りがしてしまう。もしくは、別のアイデアが必要だったか。
そして、"これ"という決め手にも欠けたかも知れない。
つまりそれは、観客の懐へ切りこむ刃か。
いずれにせよ、これからがとても楽しみな宝塚北なのです。
■県立加古川東『Happy Together』
幕開きダンスのインパクト大!
そんな遊びは随所に散りばめられていて、観客を楽しませながら、舞台は進んでいきます。
生物部の部員にも、生徒会長にも、バレー部の部員にも......、それぞれ思うことがあって、ボタンの掛け違え。うまくいかない。距離が開いていく。
そんな中エピローグは突然、入学式の日に逆戻り。
あれれ?なんだか置き去りにされた気分。
もう少し、各個人のエピソードを掘り下げられたら、そんなことも無かったのかも知れない。台本と言うより、演技演出面での掘り下げがあったなら......。
背景が見えそうで見えなかったのが、残念な部分。
惜しかったなぁ。
去年までの低調ぶりはどこへやら。見事復調を果たした今大会。
阪神支部や神戸支部に媚を売るつもりはないのだけれど、そればかりになってしまったのは共に面白かったから。全体的にレベルが上がっており、他にも注目すべき作品はいくつもありました。
ただ、欲を言えば、突き抜けた作品はなかったか。
今年の最優秀賞はいずれも顧問創作。そんな感じの大会だったのだと。
兵庫県大会で最優秀賞を獲得した滝川第二の『志望理由書』と県立神戸の『ソーニャ姐さん』は、12月27日(金)と28日(土)に行われる近畿大会で上演されます。
今年の会場は滋賀県・しが県民芸術創造会館だそう。
上演順などはごのいワールドさんで確認できます。
2013年12月 1日 20:47 │ コメント(6) │ トラックバック(0)
» 一演劇ファン
盲目の少女、透明人間、軍人、新兵器、砂丘・・・野田秀樹・・・。
コメント時刻: 2013年12月28日 15:31
» snow
初めまして。
私も兵庫県大会を一部観劇しました。
YOUさんの率直な感想が好きです。
コメント時刻: 2014年1月 8日 09:56
» YOU
> 一演劇ファンさん
『ファントムペインに血は流れるか』ですね。
野田秀樹というワードは専門審査員の方からも出てきましたが、個人的にはそんな印象は受けませんでした。
野田作品は一つ二つ観た程度ですので、何とも言えませんが……。
コメント時刻: 2014年1月 8日 19:39
» YOU
> snowさん
コメントありがとうございます。
私はいつも“つくる側の人でありたい”と思いながら観ています。だから、そんな感じの感想なのですよ。
コメント時刻: 2014年1月 8日 20:03
» snow
早速、コメ返ありがとうございます。
「ファントムペイン・・」に関して、
私もYOUさんと同じ意見でした。
殺陣は稽古不足かな? 一人だけ上手でも駄目。皆がスムーズに動けないと。
役者の力が必要とされる作品だったと思います。今後が楽しみです。
コメント時刻: 2014年1月 9日 12:37
» YOU
> snowさん
そうですね、稽古期間があと1週間でも2週間でもあれば、違った印象になったかも知れませんね。
そういった底力は持っている作品だったと思います。
コメント時刻: 2014年1月12日 20:21
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