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高校演劇'14~演じる高校生編~

春秋座正面
行って来ました、京都春秋座!
今年で13回目になる『演じる高校生』。近畿大会の優秀校の招待公演です。何度も"行きたい"と思っていたものの、都合が合わず初めての観劇です。

少し辛口コメントを挟みつつ、感想を......!と思ったものの、やはり、感想はすぐに書かなければいけませんね。
あれから1ヶ月。
少々ぐだぐだな文章になってしまいました。。。(汗)

春秋座は京都造形芸術大学の学内にあるという、立地的にも運営的にも珍しいホールです。
ホール内へ入ってみると、他のホールとの違いに気付きます。客席やや下手よりにある、舞台から客席奥まで真っ直ぐに伸びた花道。傾斜の少ない1階客席と、その両側にある桟敷席。そうです。どうやら歌舞伎の舞台を主にしているようです。

さて、今年の上演校はいずれも兵庫県代表。
滝川第二『志望理由書』と神戸『ソーニャ姐さん』。県大会から通して3回目の観劇となります。観続けてますね(笑)

近畿大会の結果は次の通りでした。
最優秀賞に輝いたのは、滝二『志望理由書』。2014年7月下旬に茨城県で行われる、全国大会(本選)へ近畿代表として推薦。
優秀賞の神戸『ソーニャ姐さん』は、今月下旬、岩手県で行われる第8回春季高等学校演劇研究大会フェスティバル2014(通称:春の全国)へ推薦されています。
演じる高校生での上演は、神戸→滝二の順で行われました。

近畿大会から1ヶ月と少し。
"どれだけ面白くなっているだろう?"と期待していたのですが......。

残念だったのは、意外にも滝二『志望理由書』でした。

その大きな理由は、県大会からの進化が見られなかったこと。
演劇というのは、一度つくる側を経験すればわかるのですが、決して解の出ないものです。その中で、今、現時点での最適解を観客に見せる。そういうものだと思っています。
『志望理由書』は、創作劇としては珍しいのだけれど、作品の方向性と演出の方向性が相反している印象があります。演出としてはコメディタッチを目指しているようだけど、そうじゃないよ、と。

県大会の初見では大きな可能性を感じました。
ただ、その時から感じていたのは、演技上の"嘘"。その"嘘"が多すぎて、演技がかなりの部分でご都合主義になっています。初見だと面白いのだけど、2回目、3回目になるとその面白さが半減する。
例えば、最初のシーンの空と大村先生の緊張感。ほぼ初対面である二人には、緊張感が発生するはず。ところが旧知の知り合いのようにはじまってしまう。例えば、警備員がサッカーボールを発見するシーン。そう、サッカーボールに気付く瞬間があるはず。それをパスして、ご都合主義的にいきなりリフティングを始めてしまう。
そういう細かい積み重ねが随所に見られます。

やってる芝居がコメディだったら、ご都合主義で良いのだと思います。
しかし、このお芝居は、そういうタイプの芝居ではない。
丁寧なお芝居を重ねた上で、後半の(台本上の)裏切りがグッと観客の胸に突き刺さる。あの物語運びは凄いのだけど、それは今の演出だと、感じられなくなってしまってる。
どうやら、初見のときから感じている音に対する違和感も、そこに起因するらしい。。。

少なくとも今回の公演では、県大会のときの演技演出を『志望理由書』はぶっ壊してくると思っていたのです。
それだけ台本には力があり、まだまだ行き着いていない感じもまたあったからです。県大会バージョンを完成型とせず、一度ぶち壊したその先に可能性があると。

あくまで私見ですが......。
確かに近畿大会のときは、『志望理由書』の方が上だった。けれど、県大会のときは『ソーニャ姐さん』の方が上だったのです。じゃあ今は?今は『ソーニャ姐さん』の方が半年後、可能性があるかも知れない。

その神戸『ソーニャ姐さん』。最大の敵は、春秋座の空調でした。
暖房が程よく効きすぎて、眠りこけてしまったのです......(滝汗)

ただ、幕開き直後に"近畿大会と違う"といきなり思わせたのは、こちらです。まず、発声法が違う。
このお芝居の上手いところは、台本の名付け方。『ソーニャ姐さん』というタイトルを見るだけで、多くの演劇人たちはチェーホフの『ワーニャ伯父さん』に起因すると言うことがわかる。
そして、幕開きはその『ワーニャ伯父さん』からのセリフ攻撃!
残念なのは、その若干早口で繰り広げられる幕開きのセリフが、歯切れの問題で聞き取り辛かったこと。多分、重要な要素なのだろうけど、聞き取れないからわからない。それでも、『ワーニャ伯父さん』を読んだことのある観客ならば、"ああ、あのシーンの!"とわかるのだろうけど、私は不勉強であったので、これが(幕開きだけに)辛い。

ただ、滝二と違って、毎回(細かい)演出を変えてきているのが、こちら。
それが良いか悪いかは別として、そういう姿勢は大事。けれど、稽古は足らない感じ。

どれだけ真摯に演劇に向き合うのか?それを考えさせられた『演じる高校生』でした。
スポーツのように明確な勝ち負けがないだけに、それは難しいのかも知れません。しかし、真剣に演劇に取り組むことは決して無駄にならず、高校生の人間性を大きく成長させます。
その突き詰められない体制が、今の演劇部の抱える課題なのかも知れません。

いずれにせよ全国の舞台では、良いお芝居を演じてくれることを期待しています!

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