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高校演劇'15〜兵庫県大会編〜

ちょっと遅くなりましたが、2015年の兵庫県大会のことを書いておきます。

第59回兵庫県高等学校演劇研究大会・中央合同発表会は、11月13日(金)~15日(日)まで兵庫県立尼崎青少年創造劇場ピッコロシアター大ホールで行われました。
今年は阪神支部主催大会。上演の間には、幕間交流も行われましたよ。

ということで、いつものように気になったお芝居をピックアップ。
今年は、上演順であげていきたいと思います。

■県立姫路工業『ハイスクール天守物語』
商業演劇を彷彿とさせるエンターテイメント。
終幕。

泉鏡花の戯曲『天守物語』を、現代高校生版として翻案したというこの作品。姫路城の天守閣に見立てた演劇部の稽古場が舞台になって話は進みます。
オペラカーテンが開いていくと、ピッコロシアター大ホールの舞台から溢れんばかりの舞台装置が目に入り、突如としてはじまるダンスに圧倒されます。期待を裏切らない幕開きです。

テンポ良く進む軽快さはあるのだけれど、残念なのは台詞や感情が流れてしまっていること。そこがこのエンターテイメントに上手く組み込めたら、もっと先を行く舞台が出来たのに。と惜しい。

ただただ感心するのは、殺陣のシーン。もう、迫力満点で嘘がない。観客を醒めさせないほどちゃんとした殺陣って、難しい。ちゃんと練習しないと失敗して徒となる。それを完璧にこなしていることには敬服です。
敵味方入り乱れての殺陣は、凄すぎる。

この作品の上演が、土曜か日曜だったら観客が熱気を帯びたのに、と。高校生たちが衝撃を受けるポイントはいっぱいあった。どうしても淋しい金曜の上演だったことが残念と言えば残念でした。


■県立御影『回転、または直進』
今年の最優秀賞のひとつ。
サクラさんが旅立つ日。

チェーホフからの原点回帰。帰ってきたF田先生のお芝居は、原点回帰的な感じ。
とある螺子商社が舞台。女性が働くということ。女性だから感じること。「○○女子」なんていう言葉。世間から見た働く女子のイメージ。

もっとサクラさん(女性の若手営業社員)、オノさん(女性のベテラン事務社員)を掘り下げられていたらなぁ、なんて思う。それは台本じゃなくて、役者。それぞれが演じるに当たって、もっともっと内面の想いが出来ていれば、チカちゃん(女子高生)との対比もあり、面白く際立ったんだろうなぁ、と。
等身大じゃない、経験したことのない、そんな人を演じるのは難しい。自分の中からじゃなく、人から聞いたり観察したりして、解をつくっていかなきゃいけないから。でも、等身大じゃない人物を演じられるのも、演劇のひとつの魅力。

次回以降の舞台に期待!かな。


■県立西宮甲山『秘密の花園』
おそらく阪神支部大会で衝撃を与えた問題作。
紗幕に映る映像と、その向こうの役者。

「気になった作品」というよりは、今年「触れなくてはいけない」作品かな。
今年の阪神支部代表校は、ストレートな作品ではなく、どれも一癖も二癖もある作品だった。その代表格が、この『秘密の花園』。

"ナンダコレハ!?"

幕開き、紗幕に投影された「秘密の花園」という文字。その文字は、紗幕に写り、当然紗幕を通り抜けた分がホリゾント幕にも写る。不思議な二重文字。
そして断片的に紡がれるひとりひとりの演技。演技というよりも、それは、好き勝手なパフォーマンス。トランペットを吹く人。スーパーマリオブラザーズを客席に向かって演じる人。パントマイムで学校の先生の真似をする人。共存はしない。個々がそれぞれに舞台へ出てくる。
最後には再び紗幕が閉まり、映像投影。

時間が経ってしまって、細かく覚えていないため、上手く書くことが出来ないのだけれど......。


■県立姫路飾西『放課後』
軽快で爽快なお芝居。
舞台は学校の屋上。

学校の屋上で繰り広げられる、青春群像劇。掛け値なしに私の一番好きな作品。
保健室でたむろっていた5人が行き着いた屋上で、物語は進んでいく。

教師から屋上という場所を勝ち取るところからはじまり、そのうちに屋上へ来る理由、そして部活の問題などが浮き上がってくる。
5人のうち女子2人は新聞部。新部長の一方的なやり方が気に入らなくて、部活をボイコット。屋上へ逃げてきていた。前半メインになるのはその新聞部の話。中盤から終盤にかけて出てくるのがサッカー部の話。男子のうち1人がサッカー部のキャプテンだったことが明らかになってくる。
話の展開は上手い。

ただね。好きだけど、足りなかった。具体的にはそれぞれの抱える問題や悩みなんだろうと思う。
新聞部で登場するのは女子だけ。サッカー部は男子の話。そのあたりの対比なんかも、もうちょっと表現できていれば、もっと面白かったかも知れない。

観客の心に何かを残す仕掛け。それが欲しかったかなぁ。




今大会はともかく元気がなかった。
それは客席が閑散としていたこともあるし、演じる側のテンションが低かったせいもある。阪神支部の番狂わせも、ちょっとは影響しているような気がする。もしかしたら、六甲が県大会へ出てこなかったことも。

でもね。自分たちが何故演じるのか?ということを考えて欲しい。そして、演劇でしか出来ないこと。演劇でしか得られないこと。そんなことに向かって邁進して欲しいなぁ、と思うのです。
舞台に立つ以上は、ね。

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